バイデン米大統領が提唱する「インド太平洋地域の新たな経済枠組み(IPEF)」に、日本やオーストラリア、ニュージーランド、韓国が参加する見通しであることが11日、分かった。IPEFは、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)を離脱した米国が主導する経済連携の枠組み。シンガポールをはじめ、東南アジア諸国連合(ASEAN)からも合流を見込む。
バイデン氏は今月20日から韓国と日本を歴訪する。22~24日の訪日に際し、IPEFの立ち上げを宣言する日程で調整している。
IPEFは、バイデン氏が昨年10月、トランプ前大統領が離脱したTPPに代わる枠組みとして打ち出した。具体的には①デジタル商取引を含む貿易分野②サプライチェーン(供給網)の強靭(きょうじん)化③インフラとクリーン・エネルギー④税と反汚職-の4分野で構成する方向だ。
アジアを含むインド太平洋の経済連携では、日中韓やASEANが加わる地域的な包括的経済連携(RCEP)が今年1月に発足。中国はTPPへの参加を正式申請するなどし、米国の存在感が薄くなっている。
こうした中、バイデン米政権には、IPEFを主導して中国に対抗する狙いもある。ただ、中国と関係が深いASEAN諸国から幅広く参加を促すため、対中牽制(けんせい)の色合いを抑えた枠組みとなる公算が大きい。
バイデン氏は12~13日、米首都ワシントンにASEAN諸国の首脳を招いて会合を開く。参加国に対してIPEFへの合流を働きかけるとみられる。
IPEFをめぐっては、冨田浩司・駐米大使が9日の討論会で、「(バイデン氏の)訪日が正式発足と重なるだろう」と指摘。「自由で開かれたインド太平洋にとって極めて重要な構想になる」と述べている。