帰還困難区域に神社完成「ようやく一歩」 飯舘村

新しく完成した白鳥神社に住民らが集まり、例大祭などがとり行われた=4月10日、福島県飯舘村長泥地区
新しく完成した白鳥神社に住民らが集まり、例大祭などがとり行われた=4月10日、福島県飯舘村長泥地区

東京電力福島第1原発事故で現在も避難指示が続いている福島県飯舘村の長泥地区に先月、新しい神社が完成した。原発事故から11年が経過し、同地区に設けられた特定復興再生拠点区域(復興拠点)では来春の避難指示解除に向けて整備が進む。一方で、拠点外については帰還の見通しがたっておらず、複雑な思いを抱く住民もいる。

憩いの場

「神様が完成したことでやっとマイナスからプラスに進んだ、癒やしの場所としてみんなで守っていきたい」

村のサクラがほころび始めた4月10日、村で唯一帰還困難区域として避難が続いている長泥地区の白鳥神社が新しく生まれ変わり、魂入れの儀式と例大祭が行われた。住民の鴫原(しぎはら)清三さん(67)は、避難先から駆け付けた住民約30人にそう呼びかけた。

村の綿津見(わたつみ)神社の多田宏宮司が祈禱し、住民らは、わずかばかりの間、近況などを話しながら、震災前のようなひと時を過ごした。

長泥地区では避難後も欠かさず例大祭を行い、氏神を大切にしてきた。11年前の東日本大震災時には灯籠などが崩れたが、非常時で業者を呼ぶこともできず「神様をこのままにして逃げられない」と住民が力を合わせて元通りにした。

そのときの傷みがあったため、昨年取り壊して住民らの寄付で新たに建立。今年3月16日の福島県沖地震で再び灯籠が落下するなどの被害が出た。

帰還に向けて

震災前、73世帯281人が暮らしていた長泥地区は、住民同士のつながりが強い地域だった。農作業はともに助け合いながら行い、子供会や敬老会などさまざまなイベントを開き、盆踊りの時期には大人も子供も一緒になって楽しんだ。

国は平成30年に長泥地区の約2割に当たる186ヘクタールを復興拠点に指定。63世帯203人が対象となっている。来春の避難指示解除に向けて除染や家屋の解体などの整備が進められており、今秋には「準備宿泊」が始まる見込みだ。

拠点外の区域がどうなるかはまだ決まっていない。10世帯30人が対象だが、今後については、国や村、住民が話し合いをしながら決めるとされている。同じ地区内で復興に差が生じており、住民は複雑な思いを抱く。

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