岸信夫防衛相は10日の記者会見で、沖縄県南方の太平洋で活動中の中国海軍空母「遼寧」について、連日確認されている艦載機などの発着艦回数が計100回を超えたと明らかにした。これまでで日本にもっとも近接した海域で活動しており、岸氏は「懸念を持って注視せざるを得ない」と警戒感を示した。
「遼寧」など8隻の中国艦艇は今月2日に沖縄本島と宮古島の間の宮古海峡を太平洋へ向けて南下。3~8日の間、沖縄県沖大東島の南西約160キロから石垣島の南約150キロの海域を航行し、警戒監視中の海上自衛隊が「遼寧」の艦載戦闘機や艦載ヘリコプターが100回以上発着艦するのを確認した。
海自は護衛艦「いずも」などが情報収集と警戒監視に当たるとともに、艦載機の発艦に合わせて航空自衛隊が戦闘機を緊急発進(スクランブル)させるなどして対応している。
「遼寧」の活動は空母などの運用能力や、より遠方の海空域での作戦遂行能力向上を目的としている可能性がある。岸氏は会見で「南西諸島および台湾に近接した海空域における活動であることを踏まえれば、懸念を持って注視せざるを得ない。引き続き、強い緊張感をもって警戒監視に当たる」と述べた。