「日米通」そろえた〝チーム尹〟 首相不在の多難な船出

【ソウル=桜井紀雄】韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)新大統領は、外交・安全保障の中核を担う閣僚や大統領府高官に米国や日本に通じた専門家を起用し、日米韓安保協力の立て直しという「公約」実現に向けた陣容を整えた。ただ、文在寅(ムン・ジェイン)前政権を支えた巨大野党「共に民主党」の反対に遭って首相さえ任命できない多難な船出となった。

林芳正外相とも会談した外相候補の朴振(パク・チン)氏は、東京大や米ハーバード大に留学し、日米双方に通じたベテラン国会議員として知られた。代表団を率いて4月に訪米し、日韓関係改善への意欲を米側に表明した。

国防相に任命された李鐘燮(イ・ジョンソプ)氏も米韓同盟に関する専門性が評価された。大統領府の外交・安保の要となる国家安保室長には、大統領選当初から尹氏の外交・安保公約を立案してきた「米国通」の国際政治学者を充てた。国家安保室第1次官にも李明博(ミョンバク)政権時代に日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)締結を目指し、革新層からの反発を招いた専門家を起用した。

一方、内閣を率いる首相には、文前大統領の盟友の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領時代に首相を務めた韓悳洙(ハン・ドクス)氏をあえて指名し、共に民主党側との融和を演出しようとした。だが、国会で多数派の共に民主党の強硬な反対で任命に必要な同意を得られず、首相不在のままといういびつな政権発足となった。

尹氏の古巣である検察庁出身者を多数政権幹部に登用したのも特徴だが、特に尹氏の検事総長時代の側近だった韓東勲(ドンフン)氏の起用に共に民主党が強く反発している。文氏の側近だった曺国(チョ・グク)元法相への捜査など文政権に絡む捜査を指揮し、政権交代の端緒をつくった人物とみなされ、家族の疑惑が狙い撃ちされている。閣僚任命を巡る国会攻防が尹政権最初の難関となっている。

会員限定記事会員サービス詳細