数字から見えるちば

農林水産物の輸出額、ピークから半減

農林水産省が公表した「農林水産物輸出入情報」によると、2021年の農林水産物・食品の輸出額は、1兆2385億円(前年比25・6%増)となった。06年に政府が打ち出した年間輸出目標額(1兆円)を初めて突破したことで、今後は25年に2兆円、30年に5兆円を目指す。

一方、千葉県の農林水産物の輸出額をみると、20年は138億円で前年比24・5%増だが、ピーク(17年の250億円)からは46・0%減少している。健康志向(サバ缶ブームなど)で青魚の国内向け出荷ウェイトが近年上がったほか、中国向けの植木類が先方の検疫強化で伸び悩んだことなどが影響している。

県産農林水産物の輸出拡大に向けた課題の一つは差別化・ブランド化で、ブランド化の有力な手法としては「地理的表示(GI)保護制度」がある。これは品質や評価などが生産地と結びついている産品の名称を保護する制度であり、登録されることで地域ブランド品として差別化が図れるため、海外展開にも大きなメリットがある。15年の制度開始以来、国内では40都道府県の112産品の登録がある(22年3月時点)が、残念ながら千葉県の産品は一つも登録されていない。

千葉県の農林水産物の中で、ブランド化により輸出拡大が見込まれるものについて考えてみよう。例えば「サツマイモ」は千葉市が栽培発祥の地であり、20年の生産量は全国2位である。輸出は、森田健作前知事の東南アジア向けトップセールスの効果などから増加基調にあるが、まだ規模は小さい。県産サツマイモは品種改良が重ねられて甘みが強く、マレーシアではスイーツ感覚で食べられていることから、コロナ後の外国人旅行客への芋掘り体験など、観光イベントとしての活用も考えられる。サツマイモ以外にも、千葉県が栽培面積・収穫量・産出額ともに日本一を誇る「日本ナシ」や、国内生産シェア8割を占める「落花生」なども引き続き有望だ。

筆者も以前ベトナムに出張した際、現地のスーパーに日本のリンゴなどが並んでおり、他国産より割高にもかかわらず、よく売れているのを見かけた。大きくて見栄えが良く甘いという品質の良さと、ブランド感が購買欲をかき立てているようだった。海外向けのブランドイメージの向上で県産農林水産物の輸出促進を図りたい。

日本の食料品市場は人口減少により縮小傾向が予想されるが、世界に目を向ければ新興国の経済成長や人口増加が進んでいる。とりわけアジアの人口が50年までに約6億人(南アメリカ大陸の人口とほぼ同じ)増加する見込みであることや、海外における日本食(和食)の人気や健康志向の高まりも農林水産物輸出の追い風となろう。また、1月には成田空港の隣接地に、新成田市公設地方卸売市場がオープンした。新市場では、加工・パッキング、通関・検疫・輸出証明など、農水産物の輸出で必要な手続きを場内においてワンストップで完結できるようになり、より鮮度の高い農水産物が輸出可能となった。そして2月には、台湾が11年の原発事故後に千葉など5県に課してきた食品の輸入禁止措置を原則解除した。日本の農林水産物輸出額の10%を占める台湾への輸出が可能になったことにより、県産品の輸出拡大へのチャンスが広がっている。(ちばぎん総研研究員 加藤瑠璃子)

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