大手総合商社が令和4年3月期連結決算で、ロシア事業に絡んだ損失計上や保有資産の減額に相次ぎ踏み切っている。将来の事業リスクに備える狙いに加え、ロシアのウクライナ侵攻に伴う経済制裁などの影響で資源開発事業などの資産価値が目減りしていることを反映させた。資源高を追い風に大手7社の最終利益がすべて過去最高という空前の好業績だが、ロシア事業は先行き不透明な状況が続く。
10日に決算を発表した三菱商事は、権益の10%を保有するロシア極東サハリンの液化天然ガス(LNG)事業「サハリン2」について、3月末時点の資産価値を昨年12月末から500億円ほど引き下げた。またこれとは別に、自動車販売などで貸し倒れ引当金を積み増したりする必要が生じたとして、130億円の損失を計上した。
この日は伊藤忠商事も決算を発表。同社は原油生産を行う「サハリン1」で権益の30%を保有する日本のコンソーシアム(共同体)に出資しているが、3月末のロシア事業の資産額は1年前に比べて150億円ほど目減りした。