朝晴れエッセー

お弁当・5月10日

春休みも終わり、始業式を迎えた日の夕方、4年生の息子の通う小学校からメールがきた。本来なら明日から始まる給食が、事情により提供できず、当面の間、お弁当の用意をお願いしますという内容だった。

私はそれを職場で受け取った。近隣の小学校も同様で、同僚のママさんも困惑している。共働き家庭にとって、給食はなくてはならない救世主なのだ。

さて、困った。やっと春休みが終わって、お弁当作りから解放される!と喜んでいた直後の連絡。今日が最後と思って冷蔵庫には何もない。しぶしぶお弁当作りを続けた。

1週間ほどたったある日、職場で自分のスマホが鳴った。息子の名前が表示されている。あれ? 今日は習い事はないから、その教室への到着連絡も、お迎え催促の電話もないはずなのに、どうしたんだろう? もしや何らかの体調不良、はたまた不慮の事故かトラブルか…。慌てて出ると弾んだ息子の声がした。

「もしもし? 今日もお弁当、おいしかったよ」

息子からの予想外の感謝の意を突然受け、一瞬とまどい、次にホッとし、そしてじわじわとうれしさが込みあげてきた。しばらくスマホを離せなかった。

こちらこそ、おいしく食べてくれてありがとう。不本意で正直いやいや作っていたのに、こんなうれしいご褒美をもらえたなんて最高だ。学校には一日も早く再開してほしいけれど無理なら仕方ない。

さあ、明日からもお弁当だ。おかずは何にしようか。


滝本みゆき(53) 大阪府東大阪市

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