山口県阿武町が新型コロナウイルス禍の影響を受けた住民税非課税世帯の463世帯分の臨時特別給付金4630万円を、誤って1世帯に振り込んで回収できなくなった問題で、町は10日、この世帯主に全額の返還を求めて提訴する方針を明らかにした。町は12日に開かれる町議会に関連議案を提出する。可決され次第「不当利得の返還」を求める内容で提訴する。町は刑事告訴の検討も進めている。
世帯主は返還を拒否。使途に関する説明も拒み「入金されたお金は口座から動かし、戻せない。罪は償う」と話しているという。
町によると、4月6日に町職員が、1世帯だけが記載された振込依頼書を町役場で印刷して金融機関に提出し、全世帯分がこの1世帯に振り込まれた。町職員は、振込依頼書が手続きに必要な書類だと勘違いして提出したと説明しているという。この1世帯は、支給対象だった全463世帯の名簿の一番上に記載されていた。振込依頼書は町役場のシステム上、名簿の一番上の世帯しか記載されない仕組みになっていたが、提出した町職員はこの仕組みを認識していなかったとみられる。