首相、G7結束優先 石油禁輸、慎重姿勢を転換

記者団の取材に応じる岸田文雄首相=9日午前、首相官邸(矢島康弘撮影)
記者団の取材に応じる岸田文雄首相=9日午前、首相官邸(矢島康弘撮影)

岸田文雄首相が9日にロシア産石油の輸入を原則禁止すると表明したのは、先進7カ国(G7)など欧米諸国との結束を優先したためだ。政府はこれまでエネルギー安全保障を重視し、石油などの禁輸には慎重だったが、ロシアへの制裁の実効性を高めるため、踏み込んだ措置を取る。

「G7の結束を示すことが最も重要だ」

首相は6日までの東南アジア、欧州訪問中、G7でロシア産石油の輸入禁止に踏み切る案が出ているとの報告を受けると、こう指示を出した。

欧州連合(EU)ではフォンデアライエン欧州委員長が4日、石油の禁輸を提案したが、その時点で加盟国の調整は済んでいなかった。首相周辺は「G7としてもある種の見切り発車だったが、首相が大局的に判断した」と解説する。

政府は4月にロシア産石炭の輸入禁止を決めたが、石油や天然ガスの禁輸には消極的だった。日本は米国などと異なり資源輸入国で、エネルギー安保の面でも調達先を中東依存から多様化することが欠かせない。一方、ロシア以外からの調達により価格が上昇すれば、国民生活や経済活動にも影響するためだ。

もっとも今回のG7の決定は石油の禁輸時期までは明示せず、首相も「時間をかけ、フェーズアウトのステップを取っていく」とした。「各国が輸入を禁止するより、石油の市場価格が下がる方がロシアには痛手になる」(政府関係者)との声もあり、日本としてもより効果的な制裁を科していく必要がある。(田村龍彦)

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