親が育てられない乳幼児を匿名でも受け入れる「こうのとりのゆりかご」(赤ちゃんポスト)の開設から10日で15年となるのを前に、熊本市の慈恵病院の蓮田健院長が9日、記者会見した。子供の出自を知る権利を損なうとの批判があることについて「(匿名性に)配慮しないと、赤ちゃんの命や健康が損なわれる。出自より命が優先だ」と改めて強調した。
ポストは平成19年に設置され、令和2年度までに159件の預け入れがあった。平成20年度が25件と最多で、以降は減少傾向。令和2年度は過去最少の4件だった。元年に独自の「内密出産制度」を導入。今年1月、初事例となる10代女性が昨年末に出産したと発表した。
蓮田院長は、女性が匿名で出産や預け入れを求めても、寄り添えば多くが実名を教えてくれると話した。病院以外に身元を明かさず出産する「内密出産」にも対応できる施設が「各都道府県に一つはあってほしい」と述べた。