香港長官に強硬派の李氏、一層の中国化に懸念

8日、香港で行政長官に当選後、花束を持つ李家超氏(ロイター)
8日、香港で行政長官に当選後、花束を持つ李家超氏(ロイター)

【台北=矢板明夫】8日に行われた香港の行政長官選挙で、中国の習近平指導部の支持を受けた李家超氏が99%を超える得票率で当選したことについて、台湾在住の香港の民主活動家は「複数の候補者から自分が支持する人を選ぶのが民主主義の基本なのに、1人だけがほぼすべての票を得る事態は選挙とはいえない」と批判した。

現在の行政長官である林鄭月娥氏の2017年選挙時の得票率は約67%、林鄭氏の前任の行政長官だった梁振英氏の得票率(12年)は約66%だった。両氏とも、中国当局の内定を受けた候補といわれていたが、北京の指名を嫌う民主派ら3割以上の選挙委員が投票で反対する意思を表明していた。

しかし、20年に香港で国家安全維持法(国安法)が施行されてから、選挙委員会は完全に北京の中央政府に抑えられ、反対意見は封殺された。

当選から一夜明けた李氏は9日、林鄭氏を訪ねたあと、中国政府の香港の出先機関、香港連絡弁公室や、中国人民解放軍香港駐在部隊を訪ね、当選のあいさつをした。中国を重視する姿勢を改めてアピールした形だ。

香港の人権活動家らが懸念しているのは、北京に従順な李氏のもとで民主化運動への弾圧が一層厳しくなり、香港の人権状況がますます悪化することだ。同時に、習指導部が推進する香港、マカオと中国の広東省の3地域を統合する大湾区(グレーターベイエリア)構想が急ピッチで進められ、香港が中国の広東省にのみ込まれてしまうことも警戒されている。

習指導部はすでに、香港とマカオの若者を広東省に招き、教育や就職を通じて「祖国への求心力を高めたい」と表明している。香港の独自性がさらに失われ、完全に「中国の香港」になってしまう恐れが取り沙汰されている。

会員限定記事会員サービス詳細