【ソウル=桜井紀雄】北朝鮮は8日午後現在、7日に東部の新浦(シンポ)沖から日本海へ潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)とみられる短距離弾道ミサイルを発射したことについて、メディアを通じて公表していない。4日に発射した弾道ミサイルに関しても依然、報じておらず、2度続けて不可解な「沈黙」を保っている。
韓国では10日に対北安全保障で日米との連携強化を目指す尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権が発足し、20日からバイデン米大統領の日韓歴訪が始まる。北朝鮮が今後も軍事的挑発を続けた上で、タイミングを計ってまとめて公表することで、日米韓へ圧力を加える効果を高めようとする可能性がある。
北朝鮮は3月16日に発射した大陸間弾道ミサイル(ICBM)とみられるミサイルが空中爆発した際は発射の事実を公表しなかった。ただ、今月7日に発射したミサイルは約600キロ飛翔(ひしょう)。昨年10月に発射したSLBMと軌道が似ており、失敗とは判断しにくい。北朝鮮は1月に長距離巡航ミサイルを発射した際は翌日に報じず、別の弾道ミサイルの発射と合わせて数日後に公表したことがある。