存在感あふれる巨大なボディーはまさにアメリカのイメージだ。迫力あるデザインと優雅なインテリアで、クルーザーのようなゆとりあるドライブを満喫できる。ジープブランドのフルサイズSUV「グランドチェロキー」が10年ぶりにフルモデルチェンジ。5代目となる新型は、全長5メートル超、全幅2メートルのボディーで、荒野の一本道を悠々と突き進むことのできる安心感をもたらす。ジープのフラッグシップ、新型グランドチェロキーに試乗した。
(土井繁孝、写真も)
今回、お借りしたのは上級グレードの「グランドチェロキーL サミットリザーブ」で、全長5200ミリ、全幅1980ミリと、国内で販売されるSUVの中でも最大級のサイズ。
外観は細長のLEDヘッドライトとジープ伝統の7連スリットのフロントグリルがシャープな印象を醸し出す。3列シートで6人乗りの設定だが広々とした車内は、国産車とは次元の違う余裕を感じる。
パワートレーンは3・6リッターV6エンジンで、純粋なガソリン車。スタートボタンを押すと低く響くエンジンの始動音が心地いい。
大きなボディーの魅力を楽しもうと高速道路に向かった。ETCゲートでは、2メートル近い全幅のせいで、左右の縁石に気をつかう。
ゲートをすり抜け走行車線に入れば、優雅なドライブを満喫できる。運転席から広がる視界は、スポーツカーやセダンでは味わうことのできない開放感だ。
インテリアはアメリカのクルマらしく、派手さを抑えた重厚な出来栄え。フロントシートには、電動調整はもちろんヒーター、ベンチレーション、さらにマッサージ機能と至れり尽くせり。
後部座席はファーストクラスのようなぜいたくな空間が広がる。2列目は1人掛けのキャプテンシートが装備されVIPの送迎にも対応する。リアのエアコンも左右独立式で、サンルーフを開ければ、さらに開放感が増す。
3列目も、普通のSUVなら2列目といってもいい仕上がり。電動可倒式で、クッションも厚い。大人でも膝先に余裕があり、長距離のドライブでも快適に過ごせる。
シート素材には、上質なソファのようなパレルモレザーが使われ、トリムのウッドも本木目と、えりすぐりのマテリアルで彩られる。
1日で数百キロの移動をこなすお国柄だけあって、快適さでは、ベンツやレクサスに勝るとも劣らない。
運転支援システムや安全装備も満載で、不満を感じることはないだろう。マッキントッシュのオーディオシステムは、広い車内をコンサートホールに変える。
難を探せば燃費だろうか。純粋なガソリン車でリッター7・7キロは、エコの視点でいえば、ライバルに見劣りする。
新型グランドチェロキーはまさにアメリカンなSUV。1千万円近い価格でハードルは高いが、納得のいく仕上がりだ。
(次回はトヨタ・アクア)