INAC神戸、泥臭く成長して頂点に 星川監督「立ち上がる力がある」

優勝トロフィーを掲げて喜ぶ中島依美(中央)らINAC神戸イレブン=相模原ギオンスタジアム(撮影・蔵賢斗)
優勝トロフィーを掲げて喜ぶ中島依美(中央)らINAC神戸イレブン=相模原ギオンスタジアム(撮影・蔵賢斗)

開幕から無敗と無失点を続けて独走状態を築き、8日にWEリーグ初優勝を果たしたINAC神戸だが、楽なシーズンではなかった。15勝のうち、1点差勝ちが9試合。2冠を狙った皇后杯全日本選手権は初戦で敗退した。チームが瓦解(がかい)しそうになる度に細部にこだわり、課題を修正してきた。星川監督は「難しいところから立ち上がる力が、このチームにはある」と強調する。決してスター軍団ではない。泥臭く成長を続け、頂点にたどり着いた。

「長かった」シーズン

試合終了の笛が鳴る。控えめに勝利をかみしめていたINAC神戸の選手たちは、ベテラン高瀬の音頭で喜びを爆発させた。黄金時代を知る高瀬は「意識の高い選手が多い。だから、試合が終わっても課題とかを考えてしまう」と説明する。きょうは、喜んでもいい-。その思いが広がり、歓喜の輪ができた。

その高瀬や主将の中島、三宅らは今季を「長かった」と口をそろえる。春秋制のなでしこリーグから秋春制のWEリーグに移行し、開幕前に約半年間のプレシーズンがあったせいもあるが、それ以上に成長途上のチームがたどった道を長く感じたのではないか。

9月12日の開幕戦で5-0の大勝を飾りながら、その後は豪快に勝ち切る展開に持ち込めなかった。「横綱相撲」といえる試合はほとんどない。リーグ全体のスケジューリングの問題もあり、選手のコンディション調整も苦慮した。そんな中でも、「試合で出た課題を次の練習でクリアにする。それを毎週毎週やってきた」と高瀬。中島も「一戦一戦しっかり準備して戦った」と振り返る。その成果が、勝負強いチームをつくりあげた。

「また来たい」と思ってもらえるサッカーを

今季のWEリーグの1試合平均の観客数は1440人。INAC神戸の優勝が決まった8日の試合は1146人に過ぎなかった。

一つ一つの試合を大事にする姿勢は、日本の女子サッカーを盛り上げたいとの思いとも結びつく。「きっかけがあって初めて試合を見に来た人に『また来たい』と思ってもらえる試合をしないといけない。する方には1試合かもしれないが、見る方はそうじゃない。そのたった一回がすごく影響がある。たくさんゴールが入れば面白いし、守備では体を張る部分とかを変わらずにやっていけたら」と高瀬。「私たちが優勝して発信できることもたくさんある」と力を込めた中島は「(今季の)残り2試合、女王らしいサッカーを見せつけたい」ときっぱりと言い放った。(北川信行)


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