
"A nuclear war cannot be won and must never be fought."
Ronald Reagan
核戦争に勝者なく、決して戦うな
ロナルド・レーガン
photo UPI=共同
世界の核兵器をめぐる安全保障体制は、東西冷戦以来、米国と旧ソ連・ロシアが互いを殲滅(せんめつ)できる核戦力を保有することで核戦争を抑止する「恐怖の均衡」によって保たれてきた。しかし、中国が「第三の核大国」として将来的に米国と肩を並べることが確実視されるほか、ウクライナに侵攻したロシアのプーチン大統領が核兵器の使用を示唆して米欧を恫喝(どうかつ)するなど、世界の核状況は新たな局面を迎えようとしている。
東西冷戦を西側陣営の勝利に導いた第40代米大統領のロナルド・レーガン氏(2004年没)は、発射されたソ連の戦略核弾頭を米本土などに到達前に破壊することを目指した「戦略防衛構想」(SDI、通称スター・ウォーズ計画)を唱えてソ連を追い詰める一方で、「核戦争に勝者はあり得ず、決して戦ってはならない」を持論とする核軍縮論者でもあった。
レーガン氏は、1983年11月に来日した際の国会演説でもこの言葉を口にした。2カ月後の米上下両院合同会議での一般教書演説でも同じ言葉を用いてソ連に核兵器の削減を呼びかけ、当時のゴルバチョフ・ソ連書記長との間で87年の中距離核戦力(INF)全廃条約の締結につなげた。