【ソウル=桜井紀雄】北朝鮮は7日午後2時7分ごろ(日本時間同)、東部の新浦(シンポ)沖から日本海へ短距離弾道ミサイル1発を発射した。防衛省や韓国軍は、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)と推定されると明らかにした。防衛省によると、飛行高度は約50キロで、約600キロ飛翔(ひしょう)。日本の排他的経済水域(EEZ)外に落下したとみられる。
新浦には潜水艦基地があり、SLBMの発射準備とみられる動きが最近、衛星写真で捉えられていた。韓国軍は、水中の発射台などではなく、潜水艦から発射したとみている。高度は約60キロだったとしている。
北朝鮮のSLBM発射は昨年10月19日に新型を発射して以来。飛距離や高度がほぼ一致しており、同タイプの可能性がある。北朝鮮のミサイル発射は巡航ミサイルを含めて今年14回目で、今月4日にも弾道ミサイルを発射した。
韓国では、対北安全保障で日米との連携強化を目指す尹錫悦(ユン・ソンニョル)氏が10日に新大統領に就任する。バイデン米大統領が20日から日韓を歴訪する計画で、北朝鮮は核・ミサイル能力を誇示して日米韓を揺さぶる狙いがあるとみられる。
北朝鮮は4月25日の軍事パレードで新型を含む複数のSLBMや大陸間弾道ミサイル(ICBM)を登場させ、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記が演説で、核兵器開発の加速と体制維持のためなら実際の核使用も辞さない考えを表明していた。
日米韓は、北朝鮮が今月中にも核実験の準備を終え、7回目の核実験を強行することを警戒している。
平壌付近から4日に発射されたミサイルは、新型ICBMの可能性が高いとみられている。ただ、北朝鮮は翌日も報道せず、軌道に異常な点もみられたことから失敗か、予備実験だったとの見方が出ている。