金融庁の高校生向け教材「バズった」 SNSで反響

金融庁では高校家庭科で教えることになった金融教育のために、様々な教材を開発し、力を入れている(永田岳彦撮影)
金融庁では高校家庭科で教えることになった金融教育のために、様々な教材を開発し、力を入れている(永田岳彦撮影)

学習指導要領の改訂で4月1日から高校家庭科で本格的な金融教育が始まり、そのために金融庁が作成した教材がツイッター上で紹介され、「いいね」が20万件以上つくなど反響を呼んでいる。具体的な事例をクイズ形式で盛り込み、イラストやデータを交えてやさしく解説しているのが特徴だ。個人のライフプラン作成や金融をめぐるトラブル回避などに広く役立ててもらう狙いがある。

「月給は20万円といわれた。毎月20万円までなら使ってよい。○か×か?」「毎月残った金額を貯蓄していくと、貯蓄を増やしやすい。○か×か?」。金融庁が3月17日に公表した全114ページ、7章からなる金融経済教育指導教材「高校生のための金融リテラシー講座」には、クイズのほかにも、「使う」や「備える」、「借りる」といったテーマ別に具体的な事例が並ぶ。

54ページのダイジェスト版のほか、高校生向け授業動画や教員向けの動画もホームページで公開するなど力を入れている。

高校の授業に加え、同じく4月から成人年齢が18歳に引き下げられたこともあり、若年層が金融に関する知識を習得する重要性は増している。

金融教育はこれまでも金融庁や日本銀行、金融業界などがさまざまな取り組みをしてきたが浸透していたとは言い切れない実態があった。同庁も子供に人気の「うんこドリル」とコラボした「うんこお金ドリル」などを作成し金融教育に力を入れてきたが、ここまで大きな反響を呼ぶまでには至っていなかった。

ただ、今回の教材はツイッター上で紹介されると「大人も勉強になる」などと内容を評価するコメントが多数寄せられた。

思わぬ大反響に製作を担当した同庁総合政策課の担当者は「『バズった』ことに驚いている。実際に教える先生にも製作段階から入ってもらい、意見を反映したのが良かったのではないか」と話している。

実際の授業で使用が始まって約1カ月が経過したが、現場からの評価もおおむね良いという。同庁では職員の講師派遣なども行っており、現場の声を聞きながら、「今後も教材の改善や情報発信に生かしたい」(担当者)と意気込む。(永田岳彦)

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