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『美術の物語』 世界的ロングセラーに脚光

「美術の物語」
「美術の物語」

『美術の物語』エルンスト・H・ゴンブリッチ著(河出書房新社・9350円)

初版発行は1950年。世界35カ国で訳され、累計800万部突破というから泣く子も黙るロングセラーだ。

もともと美術史を学ぶ人にはバイブル的な一冊だったが、ここにきて大型書店で平積みされるなど、広く売れている。美術小説で人気の作家、原田マハさんが今年1月、NHKの情報番組「あさイチ」で紹介したのがきっかけだった。

「書店さんや一般の方から本当にたくさん、注文をいただきました」と河出書房新社編集部の竹下純子さん。日本語版を出していた英ファイドン社の日本撤退に伴い、同社は新装版を2019年に刊行。中身はそのままに、白と金のシンプルかつ上品な装丁に一新した。決して安くない本だが現在計3万部。今回の大反響により2度重版がかかったという。

「ギリシャ、ルネサンス、印象派…などと細切れではなく、洞窟壁画から現代アートまで、まるで大河のように美術の流れを捉えることができるのが本書の醍醐味(だいごみ)。何度読んでも新しい発見がある」と竹下さん。著者ゴンブリッチ(1909~2001年)は美術史の泰斗だが、語り口は平易で楽しい。分厚い大著は買っただけで満足しがちだけど、こちらは夜な夜な開きたくなる。(黒沢綾子)

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