【ニューヨーク=平田雄介】国連安全保障理事会は6日、ロシアが侵攻したウクライナについて、平和的解決を目指すグテレス事務総長の努力に「強い支持」を表明する議長声明を採択した。2月24日の侵攻開始後、安保理が一致した見解を示すのは初めて。グテレス氏はウクライナ東部の市民退避作戦を通じて当事者の信頼を醸成し、和平への一助としたい考えで、議長声明の後押しを歓迎した。
グテレス氏は6日声明を発表し「安保理が初めてウクライナの平和のために声を一つにした」と議長声明を評価。「人命を救い、苦しみを軽減し、平和の道を見いだすための努力を惜しまないつもりだ」と述べた。
議長声明は、ウクライナの平和と安全の維持に深い懸念を示したほか、全ての加盟国が国連憲章の下で平和的に紛争を解決する義務を負うと記した。グテレス氏に適宜、安保理で状況を説明するよう求めている。
議長声明の採択には常任理事国ロシアを含む15理事国全てが同意した。ただ、ロシアの侵攻や責任に触れておらず、法的拘束力もない。グテレス氏らの度重なる停戦の呼びかけにも関わらず、侵攻を続けるロシアが本当に和平を望んでいるかどうかは不透明だ。
一方、議長声明を起草したノルウェーとメキシコの国連大使は採択後に発表した共同声明で、「安保理が一致して外交的解決を目指す国連と事務総長を強く支持した。正しい方向を示す最初の一歩だ」と述べた。
グテレス氏は4月、ロシアとウクライナを訪ね、東部マリウポリの製鉄所からの市民退避に国連などが関与することでプーチン露大統領と原則合意した。5日までに製鉄所やマリウポリなどから約500人を避難させたとしている。