彩時記

皐月(さつき)のバラ 魅了される姿と香り

バラは色、大きさ、形などが多彩なのも魅力。毎年新しい品種がつくり出され、その数は4万種以上ともいわれる=横浜市西区「横浜イングリッシュガーデン」(酒巻俊介撮影)
バラは色、大きさ、形などが多彩なのも魅力。毎年新しい品種がつくり出され、その数は4万種以上ともいわれる=横浜市西区「横浜イングリッシュガーデン」(酒巻俊介撮影)

風薫る5月。庭や公園で見事な花姿のバラに魅せられる季節になった。冬の間に蓄えたエネルギーを使って咲く春の一番花の美しさは格別だ。

「横浜イングリッシュガーデン」(横浜市西区)は、約2200品種、2800株のバラのコレクションを誇る。広報担当の荒谷渚さんは、咲きこぼれる花に目をやりながら、「春は全品種が一斉に咲くので、一年で最も庭が輝く季節です」。

白、赤、黄…とバラの色ごとにエリアが分かれ、淡い色から深みのある色まで幅広い色のグラデーションで目を楽しませてくれる。日一日と花数が多くなり、華やぎを増す。

花をじっくりと観賞するには朝のうちに。「日差しが強いとちょっとぐったりしてしまうので、朝のほうがきれいですし、開きたてはよく香ります」

50メートルほど続くバラのトンネルも、間もなく見頃を迎える。

「まるで空から降ってくるように咲くバラの間から青空がのぞき、優雅な香りに包まれながら歩くと別世界にいる気分です」

バラはその香りでも、時代や洋の東西を問わず、誰の心も引きつける。古代、クレオパトラがシーザーをバラの花と香りで魅了した逸話も残る。

バラの香りをまとうだけで、人は美しくなれるか-。香り成分を抽出した精油を使い、公益社団法人「日本アロマ環境協会」が、こんな実験を試みた。

女子大学生を2グループに分けて約1カ月間、それぞれにバラの精油、水を垂らしたシールを服の襟元につけて生活してもらい、変化を調べた。すると、バラの香りをかいでいたグループは肌の潤いやハリがアップ。さらに、第三者に実験前後の顔写真を見比べて印象を評価してもらったところ、「実験後のほうが魅力的」と感じた人が約8割に上った。

「香りは嗅覚から脳の各部へ刺激が伝わり、心身にさまざまな作用をもたらします。バラの香りで気持ちが和らぎ、表情が柔和になったのが魅力につながったと考えられます」

同協会の熊谷千津理事長は、こう説く。

新生活の疲れが出始め、「五月病」も気になる時期は、心身のバランスを整えるのにも一役買う。「3~5トンの花びらからわずか1キロしか採れない」精油はとりわけ高価だが、ローズウオーターと呼ばれる芳香蒸留水は比較的リーズナブル。マスクの外側にスプレーしたり、スキンケアに活用したりして、自然の香りに秘められた力を生かしたい。(榊聡美)

【旬の和菓子】 鮎菓子

これから夏にかけて和菓子店では、「若鮎(わかあゆ)」「稚鮎」など、呼び名もさまざまな鮎をかたどったお菓子がお目見えする。

間もなく鵜(う)飼いのシーズンを迎える、長良川のほとりに店を構える、明治41(1908)年創業の玉井屋本舗(岐阜市)。時代を超えて愛され続けている「登り鮎」は、岐阜の鮎菓子の元祖として知られる。

登り鮎(玉井屋本舗)
登り鮎(玉井屋本舗)

卵の風味たっぷりのカステラ生地でやわらかな求肥(ぎゅうひ)を包み、優しい味と食感が後を引く。

「暑い時季でも飽きずに食べてもらえるように求肥を使った、と伝え聞いています」。3代目店主の玉井博祜(ひろこ)さんはこう話す。

背が弓なりに反り上がった、印象的な姿は、長良川の清流を力強く泳ぐ鮎をイメージしているとか。

「特に鮎の表情にはこだわっています。手作業で目や口の焼き印を押し、凜(りん)とした表情をつくり出しています」

毎月第3土曜(今月は21日)の午前中に、店頭で職人が一つ一つ手で焼く特別仕様の登り鮎「天覧」も人気を呼んでいる。価格は登り鮎151円(11日からは162円)、天覧216円。

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