【ソウル=桜井紀雄】韓国で革新系政権を5年間率いてきた文在寅(ムン・ジェイン)大統領が9日、45%という異例の高支持率を維持したまま退任する。保守派たたきや反日・親北朝鮮路線で支持層の要望に応じてきた結果だが、極度に悪化した日韓関係や保革の社会分断という負の遺産が残されることになった。
「この5年間は国家的危機を政府の力を総動員して克服した時間だった」。文氏は任期中最後となる3日の閣議でこう振り返り、危機の一つとして2019年の日本政府による対韓輸出管理厳格化を挙げた。
「日本の不当な規制に対抗し、素材や部品分野で自立の道を歩みながら『誰もゆるがせない国』の土台を築いた」と強調した。日本企業へ賠償を命じた18年のいわゆる徴用工判決や輸出管理厳格化に対抗した反日路線で日韓関係は極端に冷え込んだが、文氏は一方的に日本に責任を転嫁した。