岸田文雄首相は10日に開かれる韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)次期大統領の就任式に、林芳正外相を特使として派遣する方針だ。林氏は滞在中、尹氏や外相候補の朴振(パク・ジン)氏らと会談する見込みで、文在寅(ムン・ジェイン)政権のもとで途絶えた本格的な日韓対話が再開することになる。両国の間には竹島(島根県隠岐の島町)の領有問題をはじめ、数々の懸案が横たわる。日本にとって譲歩の余地がない懸案が多く、具体的な解決への道筋は見えていない。
「ルールに基づく国際秩序が今、脅かされている。現下の国際情勢の中で日韓、さらには日米韓の戦略的な連携が今ほど必要な時はない。日韓関係の改善は待ったなしだ」
岸田首相は4月26日の記者会見でそう述べ、韓国次期政権との対話に前向きな姿勢を示した。尹氏もかねて、日韓間の諸懸案の「包括的な解決」を目指すとの考えを示してきた。