浪速風

一将功成りて…

ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアのプーチン大統領は、ソ連の対ナチス・ドイツ戦勝の記念日に当たる5月9日にあわせ、何らかの「勝利」を示そうとしているとされる。思うような戦果を挙げられていない状況を覆い隠すには、虚構で塗り固めるしかないのかもしれない

▶思い浮かんだ漢詩がある。「沢国江山入戦図 生民何計楽樵蘇 憑君莫話封侯事 一将功成万骨枯」。結句の「一将功成りて万骨(ばんこつ)枯る」はご存じの方も多いだろう。豊かな水郷の山も川も戦乱で荒れ果てた。人々はどうして穏やかな暮らしを営むことができるだろう…。唐末の詩人、曹松(そうしょう)の作。唐王朝を滅ぼすことになる「黄巣(こうそう)の乱」を詠んだ詩である

▶題名は『己亥歳(きがいのとし)』。西暦で言えば879年になる。ちなみに、2022年の干支は「壬寅(みずのえとら)」。後世に、どんな年だったと伝わるだろうか。ともあれ、現実を直視できない一将が功を焦ると、多くの人が迷惑を被るのは、昔も今も変わらない。

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