シネマプレビュー

「マイ・ニューヨーク・ダイアリー」ほか3本

映画「マイ・ニューヨーク・ダイアリー」9232-2437 Québec Inc - Parallel Films (Salinger) Dac © 2020 All rights reserved.
映画「マイ・ニューヨーク・ダイアリー」9232-2437 Québec Inc - Parallel Films (Salinger) Dac © 2020 All rights reserved.

公開中の作品から、文化部映画担当の編集委員がピックアップした「シネマプレビュー」をお届けします。上映予定は予告なく変更される場合があります。最新の上映予定は各映画館にお問い合わせください。


■「マイ・ニューヨーク・ダイアリー」

将来や恋に迷う作家志望のジョアンナが、米ニューヨークにある老舗の出版代理店で働き始める。クライアントである幻の作家、J・D・サリンジャー宛てのファンレターに、「この作家は返事を出さない」とタイプライターで打って返信するのが仕事だ。

1990年代半ば。手紙をキーアイテムにジョアンナの成長を描く。サリンジャーの「フラニーとゾーイー」になぞらえたようなジョアンナの行動で幕を下ろすのが粋だ。愛すべき人々による愛すべき物語。華美ではないが美しい小品だ。

ジョアンナにマーガレット・クアリー。「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」(クエンティン・タランティーノ監督)で演じたヒッピーの少女役が印象深かったが、今回のジョアンナもとても魅力的だ。上司のマーガレットには「エイリアン」(リドリー・スコット監督)などの大ベテラン、シガニー・ウィーバー。場面が華やぐと同時に引き締まる。

米作家の自叙伝をカナダの監督、フィリップ・ファラルドーが映画化。アイルランドとカナダの合作。

6日から東京・新宿ピカデリー、大阪・テアトル梅田などで全国順次公開。1時間41分。(健)


■「チェルノブイリ1986」

映画「チェルノブイリ1986」(C)«Non-stop Production» LLC, (C)«Central Partnership» LLC, (C)«GPM KIT» LLC, 2020. All Rights Reserved.
映画「チェルノブイリ1986」(C)«Non-stop Production» LLC, (C)«Central Partnership» LLC, (C)«GPM KIT» LLC, 2020. All Rights Reserved.

ロシア軍によるウクライナ侵攻で再び注目されているチェルノブイリ原子力発電所。本作は1986年に起きた史上最悪とされる原発事故当時の様子を、一般市民の視点からリアルに映し出した。爆発直後に現場に急行した消防士たちの苦闘や避難民たちの混乱ぶりが描かれている。

本作の大部分の撮影は、チェルノブイリと同型のクルスク原発で行われた。約400本のガストーチが使用された火災現場のシーンは圧巻だ。プロデューサーは事故当時、現地で撮影した経験を持つ。監督・主演を務めたのはダニーラ・コズロフスキー。露映画。

6日から東京・新宿ピカデリー、大阪・なんばパークスシネマなどで全国順次公開。2時間15分。(啓)


■「手紙と線路と小さな奇跡」

映画「手紙と線路と小さな奇跡」(C)2021 LOTTE ENTERTAINMENT & BLOSSOM PICTURES CO., LTD. All Rights Reserved.
映画「手紙と線路と小さな奇跡」(C)2021 LOTTE ENTERTAINMENT & BLOSSOM PICTURES CO., LTD. All Rights Reserved.

1980年代の韓国慶尚北道(キョンサンプクト)の寒村が舞台。村には道路が通っておらず、駅もない。村民は線路上を歩くしかなく、命を落とす者もいた。天才的な数学の才能を持つ男子高校生のジュンギョン(パク・ジョンミン)も往復5時間の通学路を通い、駅の設置を求めて大統領府に手紙を送り続けたが…。

ジュンギョンに思いを寄せるクラスメートを、日本でも人気を博したアイドルグループ「少女時代」のユナが演じている。作品全体から80年代の韓国の郷愁が漂い、家族の絆や青春の描き方は韓流ドラマを感じさせ、ほろりとさせられる。監督はイ・ジャンフン。

東京・シネマート新宿、大阪・シネマート心斎橋などで全国公開中。1時間57分。(啓)


■「死刑にいたる病」

映画「死刑にいたる病」©2022 映画「死刑にいたる病」製作委員会
映画「死刑にいたる病」©2022 映画「死刑にいたる病」製作委員会

「孤狼(ころう)の血」などの監督、白石和彌による「羊たちの沈黙」か。

少年少女ばかり24人を殺害した疑いで逮捕された殺人鬼が、起訴されたうち1件について冤罪(えんざい)の証明を大学生に依頼する。調べると次々と予想外の事実が…。

殺人鬼に阿部サダヲ。ほらあなのような黒目が狂気を表す。大学生に岡田健史(けんし)。家庭的に抑圧されて育った青年を好演している。

映像も美しい。ただ、驚がくのラストの瞬間、そこに至るすべてがお膳立てにすぎなかったかのように見えてしまうかもしれない。映倫は小学生も鑑賞対象にしたが、かなり猟奇的な犯行場面が出てくる。同名小説の映画化。

6日から東京・丸の内ピカデリー、大阪・梅田ブルク7などで全国公開。2時間9分。(健)

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