北朝鮮が異例の「沈黙」 弾道ミサイル発射公表せず

4月25日、平壌の金日成広場で行われた、朝鮮人民革命軍創建90年記念日の軍事パレードに登場した新型ICBM「火星17」。4月26日付の北朝鮮の労働新聞が掲載した(コリアメディア提供・共同)
4月25日、平壌の金日成広場で行われた、朝鮮人民革命軍創建90年記念日の軍事パレードに登場した新型ICBM「火星17」。4月26日付の北朝鮮の労働新聞が掲載した(コリアメディア提供・共同)

【ソウル=桜井紀雄】北朝鮮は5日、前日に日本海に向けて発射した弾道ミサイル1発についてメディアを通じて公表しなかった。北朝鮮はこれまで通常、失敗を除いて発射翌日に大々的に報じ、国威発揚につなげようとしてきた。今回の異例の「沈黙」に注目が集まっている。

日韓両当局によると、ミサイルは平壌付近から発射され、約500キロ飛翔(ひしょう)し、最高高度は約800キロに達した。高い角度で打ち上げて飛距離を抑える軌道で、新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星17」や「火星15」を発射した可能性があるとみられている。

ただ、通常軌道で発射しても射程は日本全土に届く2千キロ前後と推定され、ICBMとするなら短い。韓国次期政権の国防相候補の李鐘燮(イジョンソプ)氏は4日、国会で「ICBMの可能性もあるが、それより射程が短いかもしれない」と答弁した。

北朝鮮は2月と3月の弾道ミサイル発射に関し「偵察衛星のための試験」と主張。日米韓は、火星17を性能を抑えて発射したと分析していた。北朝鮮は今回、偵察衛星関連の発射実験を行った可能性がある。

3月16日に火星17とみられるミサイルが発射後に空中爆発した際は翌日に公表しなかったが、今回は日本海まで届いており、失敗と即断しにくい。1月に長距離巡航ミサイルを発射した際は別のミサイル発射と合わせて数日後に公表した。

今回はICBMの予備実験だったとの見方もあり、北朝鮮は「成功」を宣伝できるまで同種のミサイル発射を繰り返す可能性が高い。

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