ロシアによるウクライナ侵攻からちょうど1カ月の3月24日、中国外務省系のシンクタンク「中国国際問題研究院」が、大学や政府系の研究所6カ所の著名な専門家を集め、討論会を開いた。議題は、「ロシアとウクライナの衝突」が国際情勢に及ぼす影響だ。駐日大使や外務次官を歴任した崔天凱前駐米大使の姿もあり、いわば中国外交の頭脳を集めた会合となった。
同研究院のサイトによると、参加者らはウクライナ問題は欧州だけでなく、「世界の他の地域の情勢にも多大な影響をもたらす」と分析。世界経済や資源エネルギー問題に加え「国家の総合安全保障問題がさらに顕在化した」と危機感を示した上で、米国を念頭に冷戦思考や「陣営(構築)による対抗」を批判。「均衡が取れ、有効で持続可能な安全保障の枠組みを構築していくべきだ」と結論付けた。間接的な表現だが、米国の影響力を排除し、中国の勢力圏を拡大していく方針を確認した形だ。