迫る決戦 元就が恐れた名将は… 連載小説「厳島 ITSUKUSHIMA」あらすじと終盤読みどころ

1月から産経新聞と産経ニュースで連載されている武内涼さん(44)の歴史小説「厳島 ITSUKUSHIMA」はいよいよクライマックスである合戦へと差しかかろうとしています。知将・毛利元就(もうりもとなり)が、奇襲によって陶晴賢(すえはるかた)の大軍を安芸(あき)(広島県)の厳島(いつくしま)で破った厳島の戦いを題材にした戦国時代の物語。もう一人の主役である陶方の名将・弘中隆兼(ひろなかたかかね)の心情も精緻に描かれてきた、これまでのあらすじと読みどころを紹介します。

今こそ、誰にも指図されない大名に飛躍すべきとき-。そんな思いから、協力関係にあった陶晴賢に「手切れ」を宣言し、対決姿勢を鮮明にした安芸(あき)の知将・毛利元就(もうりもとなり)。元就の軍はその後、天文23(1554)年の折敷畑(おしきばた)の戦いで自軍の倍もの兵を動員してきた陶軍を破る。以前から元就の冷徹な知略を警戒していた陶方の名将・弘中隆兼は危機感を一層募らせる。

勢いに乗る元就は奇襲戦に適した厳島での合戦を見越し着々と布石を打つ。陶軍をおびき寄せる「囮(おとり)」に使う宮ノ尾城の建設計画を進める一方、山陰の難敵だった尼子(あまご)氏を調略を駆使して内部崩壊へと導く。元就はさらに自らの企(たくら)みを鋭く見抜く陶方の軍師・江良房栄(えらふさひで)の慧眼(けいがん)を警戒し、江良が「毛利に内通している」との偽情報を拡散。疑心に凝り固まった晴賢はこの偽情報に惑わされ、隆兼に命じて江良を斬る。武士として越えてはならない一線を踏み越える元就の冷酷な調略に憤る隆兼だが、厳島に仕掛けられた罠(わな)のにおいをかぎ取り、陶方で広まる拙速な主戦論を戒める。

両者の緊張は高まるが、元就側も万全ではない。陶との兵力差を覆すために欠かせない海上での戦力、村上水軍に加勢を求めるための交渉を、息子の一人である小早川隆景(こばやかわたかかげ)らを通じて行っていた。

物語はこれから終盤。5千に満たない元就の兵と陶の圧倒的大軍はどのように相まみえたのか。決戦の地、厳島での手に汗握る攻防と哀切な人間ドラマが描かれる。

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