創薬スタートアップ支援、対象拡大へ 遺伝子治療も

新しい資本主義実現会議に臨む岸田文雄首相(右から2人目)=4月12日午後、首相官邸(矢島康弘撮影)
新しい資本主義実現会議に臨む岸田文雄首相(右から2人目)=4月12日午後、首相官邸(矢島康弘撮影)

政府が、ワクチンや新薬などを手掛ける創薬ベンチャーの現行の支援策について、「ワクチンなど感染症のみ」としている対象を撤廃する方向で検討していることが5日、分かった。岸田文雄首相は、6月にもまとめる「スタートアップ5カ年計画」に創薬ベンチャーへの支援強化策を盛り込む方針。国の創薬ベンチャー支援の対象を拡大することで、国内での革新的な新薬の開発を後押ししたい考えだ。

創薬ビジネスは、新薬創出の確率が3万分の1程度とリスクが高い。一般に薬事承認まで10年以上を要するほか、動物実験や臨床の初期段階から数十億円規模の多額の費用がかかる点も課題だ。

また日本では、創薬ベンチャーを支援するベンチャーキャピタル(VC)の投資額が少なく、優れた技術を持ちながら事業が軌道に乗らない企業も多いとされる。米国の創薬系VCでは1千億~2千億円程度の投資規模があるのに対し、日本の創薬系VCの投資規模はその10分の1程度といわれ、1件当たりの投資額に限界があるのが実情だ。

そこで政府は、令和3年度補正予算で、創薬ベンチャーに投資するVCの支援額の2倍相当額を国が追加支援する制度を創設。創薬ベンチャーの治験費用などを資金面で支援する取り組みを始めた。3月から公募が行われており、企業側から多くの関心が寄せられているという。

ただ同制度は、新型コロナウイルスワクチンの開発や生産体制の強化が主な目的で、支援対象は感染症の創薬に限られる。創薬ベンチャーの経営者からは「注目されている遺伝子治療分野にも支援を拡充してほしい」といった要望が出されており、支援枠の撤廃を検討することにした。(那須慎一)

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