主張

ソロモン諸島 中国の軍事進出許されぬ

南太平洋の島嶼(とうしょ)国ソロモン諸島が、中国と安全保障協力に関する協定を締結した。

ソロモン政府が要請すれば中国が海軍艦艇を寄港させたり、軍の部隊や警察を派遣したりできる内容とされる。

この協定をてこに、中国がソロモンの軍事拠点化を進めかねない。地域の安全保障にとって深刻なリスクである。ソロモン政府は協定を再考してもらいたい。

ソロモンはエリザベス女王を元首とする英連邦の一国で、米ハワイとオーストラリアを結ぶ中間に位置する。首都のあるガダルカナル島には、先の大戦で日本軍が米豪間の補給線を断とうと飛行場を建設した。その争奪で日米両軍が激戦を繰り広げた要地だ。

日米豪、ニュージーランドの4カ国は、中国・ソロモンの協定締結に懸念を表明し、ソロモン政府に対して中国の軍事的関与を認めないよう求めている。

中国は南シナ海で、国際法上、領土とは認められない暗礁を埋め立てて人工島とし、領土と宣言して基地や行政区を設けた。中国が南太平洋でも軍事拠点を得て作戦遂行能力を持つほか、豪州東海岸を監視下に置く恐れはある。米豪両軍は注意を払わざるを得ず、南シナ海や日本、台湾周辺への備えが手薄になりかねない。

米国は国家安全保障会議(NSC)のキャンベル・インド太平洋調整官を派遣した。キャンベル氏は、ソロモンのソガバレ首相と会談して中国軍が常駐すれば対抗措置をとるとクギをさした。米・ソロモン両国は戦略対話を開始することで合意した。日本も上杉謙太郎外務政務官を派遣し、協定への懸念を伝えた。

ソガバレ首相は中国の軍事基地建設を認めないと説明したが、懸念は消えない。中国側が民間施設だと強弁して港や土地を囲い込み、軍事利用する恐れもある。

ソロモンは人口約70万人で軍を持たない。中国の資金援助や、政情不安の際の中国軍派兵がソロモン政府に魅力的に映るのかもしれない。だが、中国は発展途上国を借金漬けにして支配を強める「債務の罠(わな)」を得意とするように、支援には過度の政治的、経済的見返りを求めてくる。日米豪などはそのリスクを繰り返しソロモン側に説明するとともに、質が高く公正な経済協力を進め、ソロモンをつなぎとめなければならない。

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