【ソウル=桜井紀雄】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記は、対北政策で日米との連携強化を公言する韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)次期大統領が10日に就任するのを前に弾道ミサイルを発射し、日米韓を牽制(けんせい)した。金氏は対北先制攻撃に言及した尹氏に対抗するように、核兵器の先制使用を辞さない姿勢を示しており、軍事的挑発を一層強めていく可能性がある。
「強くなってこそ尊厳や権益を守れる現世界で強力な攻撃力、圧倒的軍事力はわが国人民の安寧と子孫の未来を保証する生命線だ」
朝鮮中央通信によると、金氏は最近、朝鮮人民軍幹部らを激励した席でこう強調した。敵対勢力の核の威嚇などを「先制的に制圧、粉砕するために戦力の優位を維持、向上させる」とも主張した。金氏は4月25日の軍事パレードでの演説では、核兵器の役割が戦争抑止に縛られないと述べ、実際の核使用をためらわない考えを表明していた。