【ソウル=桜井紀雄】北朝鮮は4日午後0時3分ごろ(日本時間同)、首都平壌の順安(スナン)付近から日本海に向けて弾道ミサイル1発を発射した。日本政府と韓国軍が明らかにした。防衛省によると、約500キロ飛翔(ひしょう)し、最高高度は約800キロに達した。日本の排他的経済水域(EEZ)の外に落下したとみられている。
高い角度で打ち上げて飛距離を抑える「ロフテッド軌道」と分析されており、韓国軍は、米本土を狙う大陸間弾道ミサイル(ICBM)を含め、中長距離弾道ミサイルの可能性があるとみて解析を進めている。
北朝鮮のミサイル発射は4月16日以来で、巡航ミサイルを含めて今年13回目。
対北安全保障を巡って日韓の協力強化を掲げる尹錫悦(ユン・ソンニョル)新政権が10日に発足するのを前に、北朝鮮が核・ミサイル開発を優先させる姿勢を誇示した形だ。
北朝鮮北東部、豊渓里(プンゲリ)の核実験場では坑道の掘削作業などが衛星写真で捉えられており、日米韓は、早ければ、バイデン米大統領が20日から日韓を訪問するのに合わせて核実験を強行する可能性も否定できないとして警戒を強めている。
北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記は4月25日の軍事パレードでの演説で、体制維持のためなら核兵器使用も辞さない考えを表明した。パレードでは、超大型のICBM「火星17」など新型兵器が多数登場。北朝鮮は3月24日にも順安から弾道ミサイルを発射し、火星17の発射に成功したと主張していた。