筆者が米国に赴任して数カ月後の2006年12月、にこやかなノーマン・ミネタ氏と会った。同年7月に運輸長官の大任を終え、ブッシュ大統領(息子)から勲章を授与されたばかり。ブッシュ氏がたたえた「類いまれな人生」を聞いた。
印象に残るのは、強制収容所の生活を楽しい思い出のように回想する表情だ。
日米開戦の翌1942年、西海岸に居住する日系人の退去を命じた大統領令で、カリフォルニア州サンノゼの自宅を家族とたつとき、カブスカウトの制服姿のミネタ少年は野球道具を持ち出すが、「兵隊にバットを没収されたんだ。『武器になる』とね」。