露、9日「宣戦布告」も ウクライナに 「戦勝記念日」を機に総動員

【ワシントン=塩原永久】米CNNテレビは3日までに、米欧の政府関係者の見方として、ロシアが早ければ今月9日にもウクライナに「宣戦布告」する可能性があると報じた。同日はロシアにとって第二次大戦の対ナチス・ドイツ戦勝記念日にあたる。これまで「特別軍事作戦」と称してきたウクライナでの軍事行動を「戦争」に格上げし、予備兵投入などの総動員をかける恐れがあるという。

報道によると、ロシアのプーチン大統領が正式にウクライナ侵攻を戦争と宣言することのより、国内で予備兵を投入したり徴兵したりし、総力戦に乗り出すことが可能になるという。

2月下旬の侵攻開始から露軍では人員や軍備に甚大な損失が出ており、兵力などの動員強化が「是が非でも必要」になっていると米欧関係者は分析している。

これまで米欧の軍事・情報筋では、ロシアが5月9日の節目に何らかの「勝利」を示そうとしているとの分析があった。緒戦でウクライナの首都キーウ(キエフ)の攻略に失敗した露軍は、東部や南部に軍事行動の軸足を移している。

ただCNNは、プーチン政権が9日に、東部ドネツク、ルガンスク両州の占領地域の併合や、東部の激戦地マリウポリの完全掌握を宣言する選択肢も残されているとしている。

ロシアの戦勝記念日をめぐっては、英国のウォレス国防相が先週、英ラジオ局の番組で、宣戦布告して総動員をかける可能性があるとの見方を示した。

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