東大から角界入りの須山 番付社会に挑戦

大相撲の木瀬部屋に入門した東大相撲部出身の須山穂嵩=4月14日、東京都墨田区
大相撲の木瀬部屋に入門した東大相撲部出身の須山穂嵩=4月14日、東京都墨田区

東京大学の現役学生が大相撲の世界に飛び込んだ。木瀬部屋に入門した須山穂嵩(ほたか)(24)。文学部哲学専修の4年生は身長180センチ、体重104キロで新弟子検査の体格基準をクリアしており、内臓検査で問題がなければ、8日に初日を迎える夏場所(両国国技館)で初土俵を踏む。最難関といわれる東大から大相撲力士が誕生するのは初めてだ。

須山が相撲を始めたのは大学から。埼玉・市立浦和高から1年の浪人生活を経て慶応大に入学。1年後、再挑戦して東大に入り直し、相撲部の門をたたいた。「もともと格闘技をやりたいと思っていた。(相撲部に)行ってみたら面白かった」。中学は野球部、高校は部活動をしていなかった。大学相撲部時代に目立った実績がなかったことを考えれば、角界入りは極めて異色の決断といえる。

当初、大学卒業後は「商社とか外務省に行くかな」と漠然と考えていたという。だが、新型コロナウイルス禍で稽古が制限された時期を経験し、「もうちょっと強くなれた」との思いからプロで相撲を続けることを決めた。卒業を待たずに入門したのは、25歳になる9月に新弟子検査受検の年齢制限を超えてしまうからだ。

過去にスポーツ界で活躍した〝文武両道〟の東大出身者は、プロ野球大洋で投手として通算9勝を挙げた新治(にいはり)伸治氏、サッカーJ2ファジアーノ岡山などでプレーした久木田紳吾氏らがいる。積水化学工業元社長の大久保尚武氏はボート日本代表として1960年ローマ五輪に出場した。

大相撲はドラフト指名などもなく、新弟子検査に合格すれば入れる。間口は広い。それでも東大からの入門者はいなかった。その一歩を踏み出すには、厳しい番付社会に挑む相当の覚悟が求められる。

関取(幕内42人、十両28人)になれるのは全力士の約10分の1。これまで国立大出身者は琉球大理学部卒の一ノ矢ら4人いるが、関取になれた者はまだいない。幕下以下は他の力士と一緒に大部屋で生活し、給与もない。年6回の場所ごとに番付に応じて7万7千円から16万5千円の手当が出るだけだ。須山は「本くらいは買えるんじゃないですか? 一日一日、頑張っていこうと思います」と意気込みを語っている。(宝田将志)

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