朝晴れエッセー

実家・5月3日

「ゆっくりできた?」と私。「うん。『上げ膳・据え膳』でありがとう」と娘。

娘は嫁いで22年。産後以外での泊まりは今回が初めてである。車で5分くらいのところに住んでいるし、家業のスポーツクラブ(器械体操)の手伝いで時々会っているので、用事が済めば遅くなっても泊まることなく帰っていた。

それが今回は理由(わけ)があり泊まった。夫婦で別々の老人介護施設に勤めているので、このコロナ禍はどちらかが県外からの人に接触すると、10日間くらいまでは別々の場所で過ごさなければならないらしい。今までは婿殿は実家で、娘は子らの世話もあるので自宅でと、やり繰りをしていたが、今回2日間はどうにもできず、娘は〝里帰り〟となった。

私の場合、家族連れで里帰りすると、母は人数分の布団を日に当てぬくぬくにしてくれていた。私も同じことをして初泊まりの娘を待った。夜勤から帰った娘と朝食を取り、私が片付けをしている間に娘はこたつでうとうと…。背中に毛布を掛けてやり、しみじみ50歳の娘の顔を見て思った。「親ってすごいなあ。子が幾つになってもいとおしく思えるんだ」と。母を思い、自分を思い、娘もいつかはこうなるんだ…。この幸せの繰り返しにうれし涙が浮かんだ。

私には、実家帰りを楽しみにしている40歳の末娘もいるので「ゆっくりしにおいで」と言える実家の親としての喜びがまだまだ続く。


滑川ゆう子(75) 茨城県北茨城市

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