知床観光船事故 社長「事故回避できた可能性あった」 運航基準違反認める

ウトロ港に停泊中の観光船「KAZU Ⅲ(カズスリー)」を調べる海上保安庁の職員=3日午前、北海道斜里町
ウトロ港に停泊中の観光船「KAZU Ⅲ(カズスリー)」を調べる海上保安庁の職員=3日午前、北海道斜里町

北海道・知床半島沖の観光船「KAZU I(カズ・ワン)」の沈没事故では、運航会社「知床遊覧船」のずさんな安全管理の実態が次々と明らかになっている。乗客の家族に配られた文書で同社の桂田精一社長(58)は、航行中の豊田徳幸船長(54)との連絡を怠り、運航基準に違反していたことを認めた。「基準通りに運航を行っていれば、より早期に帰港決定するなど事故の発生を回避できた可能性はあった」として謝罪している。

家族に宛てた文書によると、同社が国土交通省北海道運輸局に届け出た「安全管理規程」では、桂田社長が運航管理者として登録されていた。航行中は原則、運航管理者の桂田社長が事務所にいる必要があったが、事故当時は病院に行くため離れていたという。

事務所を不在にする場合は、運航管理補助者として登録した社員と常時連絡が取れる状態しなければならなかったが、当時は運航管理補助者も不在だった。

規程に基づく運航基準では、船長は航路上の13カ所の定点に達したときに通過時刻や天候、波浪などの状況を運航管理者に連絡し、毎回記録することになっていた。

事務所のアンテナが破損したまま放置されていたため、当日はカズ・ワンから無線を受信することができなかった。しかし、桂田社長は事務所にいた他の社員にも、「携帯電話で船長と連絡を取って航行状況の把握に努めるよう指示していなかった」と振り返り、「船舶の運航などについて社員に任せている部分が多く、私自身の運航管理者としての自覚も足りなかった」などと釈明した。

事故が起きた4月23日は、知床半島一帯に波浪注意報が出ており、地元の漁船は出漁を見合わせていた。桂田社長は、豊田船長から「海が荒れる可能性はあるが大丈夫」などと報告を受け、状況に応じて途中で引き返す条件付き運航を決断。途中で引き返すかどうかは「船長の判断」と主張している。

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