「情報戦優位に」態勢整備へ 岸防衛相インタビュー

インタビューに応じる岸信夫防衛相=東京・市谷本村町の防衛省(斉藤佳憲撮影)
インタビューに応じる岸信夫防衛相=東京・市谷本村町の防衛省(斉藤佳憲撮影)

岸信夫防衛相が3日からの訪米を前に産経新聞の単独インタビューに応じた。岸氏はウクライナに侵攻したロシアの苦戦について「プーチン露大統領に誤算があった」と指摘する一方で「ウクライナ政府の情報発信が大きな効果を発揮している」と分析。政府が進める国家安全保障戦略(NSS)など戦略3文書の改定を見据え、情報戦で優位に立てる態勢整備の重要性を示した。

岸氏はロシアのウクライナ侵攻について「国際秩序の根幹を揺るがす行為で断じて許すわけにいかない。日米など民主主義国家が強固な連帯を示すことが大変重要だ」と指摘。戦況については「プーチン氏の誤算ともいえる部分はウクライナの強固な抵抗と国際社会の結束した対応だ」と語った。

情報戦をめぐっては侵攻開始前からロシア側が偽情報を発信していたことを念頭に「うっかりしていると大きなビハインドを背負いかねない。情報戦に勝利するには知識と経験が重要。各機関のインテリジェンス(情報活動)をフル活用して、この分野で優位に立つことが戦況に大きな影響を与える」と述べ、組織基盤の整備に積極的に取り組む姿勢を示した。

岸信夫防衛相への単独インタビューの要旨は以下の通り。

--今年に入り、安全保障環境はどう変化したか

「ロシアによるウクライナ侵略は国際秩序の根幹を揺るがす行為で断じて許すわけにいかない。容認すれば他の地域でも一方的な現状変更が認められるという誤ったメッセージを与えかねず、国際社会として決して許すべきではない。日米など民主主義国家がしっかりした強固な連帯を示すことが大変重要だ」

--ウクライナの戦況を見て日本防衛に重要な点は

「プーチン露大統領には誤算があり、侵略行為がどれほど高いコストにつながるのか示された。その上で日本では安全保障を最終的に担保し、揺るぎない意思と能力を明確に示す防衛力の強化が極めて重要だ」

--ウクライナ側の情報戦が効果を挙げた

「ウクライナ政府の積極的な情報発信が大きな効果を発揮している。(非軍事部門を組み合わせた)ハイブリッドな戦いが行われる中、情報戦は(戦闘開始)以前から着手される部分だ。うっかりしていると大きなビハインドを背負いかねない」

--人的投資で組織的な充実を図るべきではないか

「その通りだ。情報戦に勝利するには知識と経験も大変重要だ。各機関のインテリジェンス(情報活動)をフル活用し、この分野で優位に立つことが戦況に対して大きな影響を与える」

--日本が海洋国家であることを踏まえ、どのような備えが必要か

「日本周辺には強大な軍事力が集中しており、その強化や活発化の傾向が顕著だ。多くの島嶼(とうしょ)部、広大な排他的経済水域(EEZ)に、守るべき国民、領土、資源が広く存在する。海上、航空優勢の確保のため安保環境に即した部隊配置と状況に応じた機動展開が重要。それらの確保が困難でも、(相手のミサイルなどの射程圏に入らない)脅威圏外から(自衛隊のミサイルなどで)相手部隊の接近を阻止できるようにしておくことだ」

--ドイツが防衛費の大幅増額に政策転換した

「今回、軍事力が行使される現実を目の当たりにした。国民の命と暮らしをしっかり守るため、この現実に何をしなければいけないのか。日本独自の防衛力を抜本的に見直していくことが必要だ。その上で日米同盟を強固なものにしていくなど国際社会の連携を強めていくことが、どの地域でも今、大変重要なことだ」(市岡豊大)

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