蓄音機で鑑賞するSPレコード定期コンサート 解説者は町教育長

あらえびすレコード定期コンサートを、解説者、町教育長として支えてきた侘美淳さん(石田征広撮影)
あらえびすレコード定期コンサートを、解説者、町教育長として支えてきた侘美淳さん(石田征広撮影)

岩手県紫波町教育長 侘美淳(たくみ・じゅん)さん(70)

クラシックの名曲を蓄音機で鑑賞する全国でもほとんど例がない月1度の定期コンサートがある。平成7年6月から岩手県紫波町の野村胡堂・あらえびす記念館で開かれている「あらえびすレコード定期コンサート」。約50人の定員に毎回40人以上が詰めかけ、開催300回を超える人気のコンサートだ。その解説者を現在まで歴代最長の17年以上務め、24年10月からは町教育長としても支えてきた。

コンサート誕生は東京都の厚意がきっかけだった。

「銭形平次捕物控」の原作者である同町出身の野村胡堂(1882-1963年)はクラシック音楽の評論家でもあった。あらえびすのペンネームで「名曲決定版」「バッハからシューベルト」「楽聖物語」などを著し、クラシック音楽のSP盤の日本屈指のコレクターでも知られていた。

記念館の開館まで4カ月と迫った7年2月。都が野村レコードコレクションとして管理していた胡堂所蔵の約7千枚のクラシック音楽のSP盤を町に譲渡したのだ。保存状態が良好で鑑賞も可能だったことから、当時の町職員が胡堂が愛用した蓄音機の同モデルでクラシック音楽の名曲を鑑賞するコンサートを企画し、実現にこぎつけた。

自身は岩手県遠野市立宮守中学校の校長時代の16年10月からコンサートに関わるようになった。岩手大学教育学部音楽科に学び、同県内で長く音楽教師を務めた経験を買われ、中学時代の恩師である前教育長の川村秀彦氏にコンサートでの解説を要請されたのがきっかけだった。

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