遠隔管理や地域拠点化 往来減少で変わる鉄道駅

監視カメラを通じて「無人駅」の安全を確認する西鉄柳川駅のサポートセンター(西日本鉄道提供)
監視カメラを通じて「無人駅」の安全を確認する西鉄柳川駅のサポートセンター(西日本鉄道提供)

人口減少や新型コロナウイルス禍での移動機会の減少を受け、鉄道の駅が様変わりしている。駅係員を終日配置しない「無人駅」が増える一方で、監視カメラなど最新技術を駆使して遠隔の安全管理が進み、駅そのものを名所とする取り組みも広がる。人の往来が減少し、寂れていく印象が強まる中で、将来につながる駅の新たな形態を、各鉄道会社が模索している。

「無人駅ではない」

西日本鉄道は4月、福岡県内の天神大牟田線で9駅を新たに駅係員を終日配置しない駅に転換した。これで同線の62駅のうち約半数の33駅が無人化された。

西日本鉄道が無人駅に設置したインターホン。問い合わせに対応するスタッフの顔が映る
西日本鉄道が無人駅に設置したインターホン。問い合わせに対応するスタッフの顔が映る

通常、係員が常駐しない駅は無人駅と呼ばれるが、西鉄は対象駅が報道などで無人駅と表現されることに反発する。係員が定期的に巡回し、一定時間滞在するためで、対象駅の一つ、大保駅(小郡市)では平日は正午前後や夕方など計5時間近く滞在。介助サポート員の滞在を合わせると、係員が8時間余り駅にいることになる。

西鉄が無人駅という表現を避ける背景には、無人化に対し地域の反発が大きいこともある。西鉄は対象駅に監視カメラや問い合わせに対応するインターホンを設置し、安全やサービスの維持に努める。西鉄柳川駅のサポートセンターでは、係員4人が安全管理や乗客対応を行い、ホームの端をふらつく人や、スマートフォンを見て歩く人に案内放送で注意を促すこともあるという。

こうしたデジタル技術と係員の巡回を組み合わせて管理する駅の形態を、西鉄は「集中管理方式」と呼ぶ。営業課の今里栄佑係長は「無人駅というと寂れた駅を想像させ、安全軽視のイメージを与えるがそうではない。新技術を活用して安全管理をし、駅のスマート化を実現している」と説明する。

インターホンには対応するスタッフの顔が映り、テレビ電話のような感覚で会話ができる。西鉄は、この新たな設備投資に約2億4千万円を投じ、列車の到着や通過を音声や文字で知らせる装置なども新設する。大保駅を取材した際、「困ったときにすぐ話を聞けるよう、係員にはいつもいてほしい」と利用客の女性(75)は不満をもらしたが、多くの乗客はICカードや券売機で購入した切符で改札機を通り、スムーズに乗降していた。

常駐の廃止で見込まれる経費削減効果は年間約2千万円。林田浩一社長は「鉄道は平成4年をピークに利用者が減少傾向で、将来にわたり持続可能な公共交通を確立することが必要」と理解を求める。

観光地にも

人口減少時代の鉄道運営には、人員配置の見直しや効率化が欠かせない。JR九州も3月、無人駅を新たに29駅追加し、販売窓口のある261駅のうち48駅で販売業務を廃止した。

古宮洋二社長は「お客さまには丁寧に説明し、不安の解消に努めたい」と述べ、今後の駅のあり方について「安全とサービスを前提に効率よく駅を運営することを考えないといけない。駅はこれから新しい形になっていく」と述べた。

同社も駅運営にデジタル技術の活用を進める。利便性向上策の一環として、車いすなどで介助が必要な乗客向けに、全国のJRで初めてウェブで介助の受け付けができるシステムを開発し、6月1日からサービスをスタートする。

駅そのものの活性化にも力を入れており、地元企業からプランを募って事業化。筑豊線の二島駅(北九州市)では、地元商店と連携して特産の野菜や弁当などを販売。久大線の日田駅(大分県日田市)では駅の2階にゲストハウスやカフェを設け、地域の交流拠点とした。

九州各地には、レトロな駅舎が残り、風光明媚(めいび)な景観が楽しめる駅もある。こうした取り組みによって駅自体が人気観光地に化ける可能性も秘めている。(一居真由子)

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