政府、韓国大統領就任式に林外相派遣方針 首相は見送り

岸田文雄首相(右)と林芳正外務相(矢島康弘撮影)
岸田文雄首相(右)と林芳正外務相(矢島康弘撮影)

政府は10日に予定される韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)次期大統領の就任式に、林芳正外相を派遣する方針を固めた。2日、複数の政府関係者が明らかにした。韓国側からは岸田文雄首相の出席に期待する声が高まっていたが、いわゆる徴用工訴訟や慰安婦問題での解決策は示されておらず、今回の訪韓は見送る。林氏は滞在中に新政権幹部と会談し、日韓間の懸案への対応を求める。

3月の大統領選に勝利した尹氏は、日本や米国との連携を重視。就任前から日本に「政策協議代表団」を派遣し、首相らを表敬訪問していた。

首相は北朝鮮の核・ミサイル開発や、中国の軍事・経済面での台頭、ロシアによるウクライナ侵攻などを踏まえ、日韓関係の改善には意欲を示すが、韓国側からは1965(昭和40)年の日韓請求権協定や2015(平成27)年の日韓慰安婦合意などを解決する確約は得られていない。このため、就任式に合わせた訪韓は時期尚早と判断した。

首相は4月26日の記者会見で「国と国との約束を守るのは、国家間の関係の基本だ」と述べ、韓国側に問題解決に向けた対応を求めた。

会員限定記事会員サービス詳細