主張

改正外来生物法 生態系再生への好循環を

北米大陸原産で日本の水辺の生態系に深刻なダメージを与えてきたアメリカザリガニとアカミミガメ(ミドリガメ)が、特定外来生物に指定される運びとなった。

今国会で外来生物法が改正され、規制の対象になる見通しだが、遅きに失した感は否めない。

両種の実害は、専門家の間で指摘されていたのだが、子供たちが飼育している事例が多いため、厳しい規制をかけることが難しく、指定の先延ばしが続けられてきたという経緯がある。

政府が生物多様性の重要性を早期にしっかり認識していれば、これほどの対応の遅滞はなかったはずだ。たかが子供のペットなどと、あなどる心はなかったか。

アメリカザリガニは、移入されてから約90年のうちに北海道から南西諸島までの全国の池や水路などに分布を広げた。祭りの縁日などでミドリガメの名で子亀が売られたアカミミガメも野生化し、全都道府県に分布している。

アメリカザリガニは、水生昆虫や二枚貝などを食害するだけでなく、水質浄化に役立つ水生植物も食い荒らすので、一帯の環境を汚濁の水域へと悪化させる。

アカミミガメも雑食性で繁殖力が強く、在来種のニホンイシガメを圧迫している。日本の淡水の生態系は、両種による侵略によって劣化の道をたどっている。

特定外来生物の飼育は禁止だが、子供たちのペットになっている両種の場合は、例外的に従来通り飼い続けることができる。

他の特定外来生物と同じ厳しい規制をかけると一斉に野外へ放出される恐れがあるための苦肉の措置だ。環境省では最後まで責任を持って飼い続けるよう「終生飼養」を呼び掛けているが、アカミミガメの寿命は約40年と長い。果たしてどれだけ守られるか。

飼育を認めたことで特定外来生物への指定に伴う闇放出の急増は避けられそうだが、今回の法改正だけでは野外での繁殖拡大は止まらない。自然界にいる個体の駆除加速が必要だ。

国会での外来生物法の改正後、法運用の細部は政令で決まる。ここに知恵を絞ってもらいたい。捕獲したアメリカザリガニを食材として料理店などに売る場合の許認可の簡素化も一例だ。

販売収入を効率的に駆除活動へ還元できれば、生態系復元への好循環が生まれる。

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