クルド人高校生の成長描く 「マイスモールランド」川和田恵真監督

「一人一人の関心が積み重なることで社会が変わっていく」と話す川和田恵真監督=2日午前、東京都港区(星直人撮影)
「一人一人の関心が積み重なることで社会が変わっていく」と話す川和田恵真監督=2日午前、東京都港区(星直人撮影)

クルド人の女子高校生が自らのアイデンティティーと向き合いながら成長する姿を描いた映画「マイスモールランド」が6日から全国公開される。埼玉県内で暮らすクルド人たちに約2年間にわたって取材を重ねた川和田恵真(かわわだ・えま)監督(30)に、作品に込めた思いを聞いた。

映画「マイスモールランド」のワンシーン(©2022「マイスモールランド」製作委員会)
映画「マイスモールランド」のワンシーン(©2022「マイスモールランド」製作委員会)

作品の主人公は埼玉県内で育った17歳のサーリャ。同世代の日本人と同じように高校生活を送っていたが、在留資格を失い、バイトをすることもままならない状況に陥っていく。

県内では実際、川口市を中心に多くのクルド人が生活する。在留資格がなく就労が禁じられている人も少なくないため、同市は仮放免者の就労制度創設などを国に求めている。

この映画がデビュー作となる川和田監督は、平成30年ごろから県内のクルド人やその家族への取材を始めた。

在留資格がないまま仮放免され、就労などができない環境の高校生にも出会った。「日本を母国と思いたいが、そう思えないような状況にあるのではないか」。クルド人たちが直面する現実を丹念に描写していくことで、映画を見る人に訴えかけようと考えた。

作品の中では、分かりやすい「結論」は提示していない。

「現在進行形で問題に直面しているクルド人たちがいる。安易に答えを決めつけることはせずに、映画を見た人に私たちの社会がどのようになっていくべきかという問題を投げかけた」

川和田監督は英国人の父親と日本人の母親を持つ。父と母の話す言葉が異なる環境で育ち、アイデンティティーについて思い悩むこともあったという川和田監督にとって、取材したクルド人たちと自身の重なる部分も多く思えた。

「映画で描いたことは、私たちのすぐ身近で起きている。一人一人の関心が積み重なることで社会が変わっていくと信じている」

映画をきっかけにクルド人たちへの理解が広がり、彼ら彼女らを取り巻く環境が徐々に変化していくことを願う。(星直人)

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