極東サハリンの資源開発事業をめぐり、日本が難しい判断を迫られている。ロシアのウクライナ侵攻を受け、共同参画する欧米企業が早々と撤退表明したのに対し、日本の政府や大手商社はエネルギー安全保障を守る立場から撤退に慎重な姿勢を崩していない。もっとも、侵攻の長期化とともに撤退圧力は高まりつつある。継続とはいえ様子見の意味合いも強く、いつ方針転換に踏み切るともかぎらない。
「撤退すべきとの意見があることはもちろん承知しているが、いま撤退すれば(日本が)失うものはあまりにも大きい」
大手商社の関係者は、サハリン事業への参画を続ける理由をそう強調する。
サハリン事業には原油生産を行っている「1」と、主に天然ガスを産出し、LNG(液化天然ガス)として輸出している「2」がある。「1」は政府や伊藤忠商事、丸紅が出資するサハリン石油ガス開発(SODECO)が権益の30%を保有。「2」には三井物産が12・5%、三菱商事が10%を出資している。