北欧ブランド「マリメッコ」元デザイナーの故郷への思い

「キュレーター」の1人、元マリメッコデザイナー、石本藤雄さん
「キュレーター」の1人、元マリメッコデザイナー、石本藤雄さん

フィンランドのテキスタイルブランド「マリメッコ」の元デザイナー、石本藤雄さんらを「価値あるものを産み出し情報発信する人」という意味を込めた「キュレーター」に起用する地域商社「フレンドシップえひめ」が松山市に誕生し、オリジナルのネットショップ「22_Ehime」で商品の販売を始めた。独創的な色づかいで、世界的な人気を誇るマリメッコ。石本さんは退職後、拠点を出身地の愛媛に移していた。

地域商社は「地方」を最大の売りとする事業者をさし、政府は地方創生の担い手として地域商社事業を支援している。

デジタル田園都市国家構想実現会事務局によると、地域にはあまり知られていない農産品、工芸品など魅力ある産品、サービスが数多く眠っており、それらを新たに開拓することで従来以上の収益を引き出し、そこで得られた知見や収益を生産者に還元していくことを目指す。地方創生推進交付金により、100カ所以上の地域商社事業の設立、機能強化に向けた取り組みを支援してきたとしている。

「フレンドシップえひめ」の事業開始を発表した友近俊明社長(右から2番目)ら
「フレンドシップえひめ」の事業開始を発表した友近俊明社長(右から2番目)ら

新設にはさまざまな会社や団体の組み合わせがあるが、地方銀行が核となるケースが多い。地方銀行にとっては、域内経済の活性化に貢献することが求められ、それが自らの収益獲得にもつながるからだ。フレンドシップえひめにも、愛媛銀行(松山市)が参画している。同行と情報・出版・印刷のセキ(同)、マスメディア・放送の南海放送(同)と異業種3社が共同出資し、資本金3千万円で昨年11月に設立した。

特徴はキュレーターの起用だ。石本さんはマリメッコの元デザイナーで、その後は陶芸家としてアラビア(フィンランド)のアート部門でも活躍した。愛媛県砥部町出身で、2年前に帰国し、現在は松山市の道後地区にアトリエを構えている。

ほかの2人は、かつて住友商事で繊維部門を担当し30カ国と取引した経験を持つシルクの専門家、「ユナイテッドシルク」(松山市)社長、河合崇さん、看板メニューのハイボールと絶品のおつまみで知られる東京・銀座のバー「ロックフィッシュ」店主、間口一就さん(愛媛県愛南町出身)。3人とも価値のあるものを知っていると評価され、フレンドシップえひめでは、商品群の魅力をアップする効果を期待している。

サイトは農・水産物の加工食品や今治タオル、砥部焼といった16事業者の91アイテムでスタートした。ハンドソープなどのシルク商品、石本さんデザインの陶器も含まれている。

ゼリーとジュースを出品している「ふたみファンクラブ」の上田沙耶さん
ゼリーとジュースを出品している「ふたみファンクラブ」の上田沙耶さん

4月21日の記者会見で、フレンドシップえひめの友近俊明社長は「愛媛には若くエネルギッシュな事業者が多くいる。県産品のファンを創出していきたい」と抱負を述べ、今期の売り上げ目標7千万円を掲げた。商品は約200アイテムまで増やしていく方針という。

愛媛銀行の西川義教頭取は「各市町からの関心は高く、自治体とも力を合わせオール愛媛で地域活性化に貢献したい」と述べた。セキの関宏孝社長は「われわれにとっても礎になる」と期待をかける。南海放送の大西康司社長は「異業種3社で愛媛の底力を全国、世界に見せたい」と意気込んだ。

キュレーターの石本さんは「縁があってお世話になることになった。作品が広く知ってもらえるのでうれしい」と話していた。

ゼリーとジュースの商品を出品している「ふたみファンクラブ」(伊予市)の上田沙耶さんは「伊予灘に沈む夕日の美しい双海町のミカンを使っています」とアピールしていた。ゼリーは高級かんきつ「紅マドンナ」を使用し、ジュースは温州みかん、甘平、不知火の3品種をラインアップ。ジュースは限定品でボトルのナンバリングが特別感を醸している。(村上栄一)

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