農耕は火の使用と並ぶ先史時代の偉大な発明だ。飢餓を乗り越える道を切り開き、人類の繁栄を支えてきた。しかし今、その負の側面が地球を脅かしている。
農耕は西アジアが起源
不安定な狩猟採集生活を長く送ってきた人類は、農耕によって食糧を自らコントロールする方法を手に入れた。農耕は文明の誕生から現代の社会経済に至る人間活動の基盤であり、その価値は計り知れない。
龍谷大の丹野研一准教授(考古植物学)によると、農耕はトルコ南部からイスラエルにかけての西アジアで始まった。氷河期が終わって気候が安定した約1万1000年前、ムギとマメ類を栽培したのが起源だ。