長瀞ラインくだり、安全対策徹底 秩父鉄道、知床事故の不安払拭

大型連休で盛況の長瀞ラインくだり。安全管理を徹底して運航している=1日午前、長瀞町(星直人撮影)
大型連休で盛況の長瀞ラインくだり。安全管理を徹底して運航している=1日午前、長瀞町(星直人撮影)

北海道・知床半島沖で観光船の沈没事故が起き、埼玉県内の観光関連事業者は影響を注視している。荒川の急流と景色を楽しめる同県長瀞町の「長瀞ラインくだり」を運営する秩父鉄道(同県熊谷市)は、改めて安全管理対策の徹底を図っている。天候など自然条件を重視した運航管理にライフジャケット着用の呼びかけ…。観光事業課の杉山章課長は「安全最優先の営業なので、安心して利用して」と話している。(星直人、写真も)

大型連休中の1日、珍しい模様の巨岩が並ぶ岩畳で知られる同県長瀞町は多くの観光客でにぎわっていた。同町名物のラインくだりも盛況だった。

ラインくだりは荒川の急流をダイナミックに下るのが売りの一つだ。それだけに安全管理対策には余念がないといい、記者は試しに乗船してみた。

長瀞ラインくだりの観光客にライフジャケット着用を求める看板=1日午前、埼玉県長瀞町(星直人撮影)
長瀞ラインくだりの観光客にライフジャケット着用を求める看板=1日午前、埼玉県長瀞町(星直人撮影)

まず船頭から、川に転落した場合に備えてライフジャケットを着用するよう求められた。これに応じない場合は、原則として乗船はできない。

記者は先頭に乗り、船頭の巧みなさおさばきを間近で観察できた。岩などを避けてスムーズに船を進める様子には安定感があった。

船には2人の船頭が乗るが、先頭の船頭は流れに応じたコース判断が求められ、長年の経験を積んだベテランが務めているのだそうだ。

ラインくだりは約20分。危険と思うことなく、水を近くに感じながら楽しい時間を過ごすことができた。

参加した観光客からは、「知床の事故もあり、乗船前には少し不安があったが、ライフジャケット着用など安全対策が取られていたので安心して川下りを楽しめた」などといった感想が聞かれた。

この日は昼ごろから雨模様となり、午後は運航取りやめとなった。

秩父鉄道は、船が川の水量や風の強さの影響を受けやすいため、自然条件の変化を特に重視している。雨雲レーダーを使ったり、水深や風速を計測したりして、安全が確保できないと判断した場合、すぐに運航を中止する。

また水深が浅ければ船の乗員を減らすなど、柔軟な対応に努めている。

使用する船も抜かりはない。「FRP樹脂」と呼ばれる素材で加工した強度の高い木造船を採用している。

これに加え、昨年12月に荒川沿いの岸壁が崩落したことを受け、営業前の試運転の取り組みも始めた。安全性を前面に押し出し、観光客の不安払拭に注力している。

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