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「ニセ」情報 見極めるには

多様化したメディアやSNS(交流サイト)から大量の情報が流れ、「ニセ」の情報に踊らされるリスクが高まっている。不確かな情報に振り回され、お金や時間を無駄にするのはもったいない。情報を見極めるポイントを示した本を探した。

『あなたもだまされている 陰謀論とニセ科学』(左巻健男著、ワニブックスPLUS新書・1045円)は、有名陰謀論からニセ健康情報、都市伝説など、本当っぽいウソや怪しげな情報について事例を挙げて科学的に検証、どこに問題があるかを解説している。

「アポロは月に行っていない」といった有名な陰謀論はたとえ信じても直接の害はないだろう。だが、がんの予防・治療法や健康法をうたった「ニセ科学」は、健康を害したり多額の経済的損失を被ったりする可能性がある。

著者は、「ニセ」の科学や医学でだまそうとする商品の説明に「波動」「活性化」「免疫力」などのキーワードが使われていることが多いと指摘する。キーワードがある商品全てが怪しいわけではないだろうが、見かけたときは購入する前にひと呼吸おいた方がよさそうだ。たとえ著名な医師や大学教授が勧めるものでも、お金がかかり過ぎるものは要注意だという。「ニセ科学」に引っかからないセンスと知力を身に付けたい。

『ワクチンの噂 どう広まり、なぜいつまでも消えないのか』(ハイジ・J・ラーソン著、小田嶋由美子訳、みすず書房・3740円)は、ワクチンの信頼性をめぐる国際的な研究プロジェクトを率いてきた人類学者の著作。ワクチンに関する噂やデマがどのように生まれて広まり、なぜいつまでも消え去らないかを、多角的に検証し解き明かしていく。

「健康被害はワクチンのせいかもしれない」などという不確かな情報は、不安が不安を呼んで瞬く間に広がる。日本では子宮頸(けい)がん予防のHPVワクチンが平成25年4月、小学6年から高校1年相当の女子を対象に定期接種となったが、副反応への不安からわずか3カ月で接種の積極的勧奨が中止された。

今春、9年ぶりに再開され、接種対象の女子のいる家庭には自治体から接種のお知らせが届く。打たせるべきか、迷っている保護者は一読を。

食も、不確かな情報が出回りやすい分野だ。『ほんとうの「食の安全」を考える ゼロリスクという幻想』(畝山智香子著、DOJIN文庫・990円)は、食をめぐる多様な情報から信頼に足るものをどう見分けるかについて、食品安全の専門家が詳しく解説する。

2009年、英国の食品基準庁が「オーガニック食品(いわゆる有機食品)と一般の食品で大きな差はない」との報告を発表した。過去50年間に発表された関連論文を包括的かつ綿密に検証した結果だ。

しかし、世間には「オーガニック食品は一般の食品より栄養価に優れ健康にいい」という趣旨の情報が出回っている。健康のため、高いお金を払ってでもオーガニック食品を買うべきだと考える消費者は少なくない。

著者は「健康にとって本当に大切なのはオーガニックかどうかより多様な野菜や果物を含むバランスの取れた食生活」とし、旬の野菜や果物に加え、缶詰や冷凍品などの加工品を上手に利用することを勧める。あふれる食情報に振り回されないよう気を付けたい。(平沢裕子)

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