熊木徹夫の人生相談

きょうだい不仲 母の納骨で後悔

イラスト・千葉真
イラスト・千葉真

相談

60代女性。兄と姉がいます。兄とは仲が良いものの、姉とは仲が悪く、ほとんど口をききません。2カ月前に母が亡くなりました。母は私が引き取って同居をしていましたが、数年前から施設暮らしでした。何とか3人で葬儀を済ませ、納骨の日程を決めて別れました。

しかし納骨の日にお寺に行くと、ご住職から「もう済んでますよ」と言われ驚きました。姉が勝手に日時を変え、一人で終わらせてしまったのです。

姉に連絡を取ろうとしても、電話もメールも拒否設定で連絡が取れません。私はとてもショックで、子供たちも号泣していました。兄も私も母との最後の別れを大事に考えていました。母はきょうだい仲良くしてほしいと願っているはず。申し訳なく無念な気持ちに、どう整理をつければよろしいでしょうか。

回答

親が亡くなるに際して、きょうだいが不仲になり(あるいはこれまでに不仲であったことが露見し)、収拾がつかなくなることは珍しくありません。では、あなたと姉の関係性はどうだったのか。そこから探ってみることにしましょう。

母の最期を看取るのはあなたの役割だったようですね。そして母の最期の場は施設だったとのこと。姉は、母の介護ができなかったことに不全感があったのか。もしそうだとするなら、せめて最後の納骨は自分ひとりでかたをつけたいと思ったのかもしれません。その上で連絡を絶ったのなら、とても独善的・自閉的な振る舞いといえましょう。はたまた〝あなたが母を施設にほうり出した〟と捉えたことで、あなたへの責めの気持ちを溜(た)め込んでいたのか。その場合、あなたへの強い恨みを表現したといえます。いずれにせよ、あなたと融和しようとする姿勢は見受けられません。

一方のあなたはどうか。あなたは「申し訳なく無念な気持ちに、どう整理をつければ」と問うている。母の期待に沿えないことは残念だが、もはや姉との関係性をどうすべきかはここでの主題ではない。

すなわち、双方の情緒的つながりはすでに完全に切れてしまっている。あなたにとって現状の姉は、〝妨害を加えてくるだけの迷惑な存在〟のように映っているでしょう。きょうだい皆が融和し、母を弔うことが究極の理想ですが、それは叶(かな)いそうにない。

とすれば、あなた個人が最良と思える方法で、母を弔うしかないでしょう。「姉は姉、私は私」です。お互いの思いは、同じ道ではないにせよ、きっと母に通じている。この事態は本当に歯痒(はがゆ)いでしょうが、母はきっとあなたの苦しみを汲(く)んでくれるものと信じます。

回答者

熊木徹夫 精神科医。昭和44年生まれ。「あいち熊木クリニック」院長。著書に「自己愛危機サバイバル」「ギャンブル依存症サバイバル」(ともに中外医学社)、「精神科医になる~患者を〈わかる〉ということ~」(中公新書)など。

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