浪速風

自然の中では通用しない

人間の脳は体温が30度に下がると体温調整の中枢である視床下部が機能を喪失し、死に至る。あのタイタニック号が北大西洋上で沈んだ1912年4月、海水温は低く、約1500人の犠牲者の多くは冷たい海水につかったことによる低体温症で死亡したと考えられている

▶北海道・知床半島沖で乗客乗員26人が乗った観光船「KAZU Ⅰ(カズ・ワン)」が行方不明になった事故当時、海水温は1~2度だったという。救命胴衣は浮力は確保するが、身体は水につかり、体温維持の用はなさない

▶平成21年7月、北海道・大雪山系のトムラウシ山(2141メートル)で縦走ツアーの登山客ら8人が死亡した遭難事故も、死亡原因は低体温症だった。事故調査特別委員会は調査報告書でこう指摘している。「『どんな状況下でも日程を忠実に実行するのが良いガイド』などという考え方(参加者やガイドを含めて)があるが、それは自然の中では通用しない」

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