韓国国会、検察の「捜査権剝奪」法案可決 与党「報復」回避

30日、検察庁法改正案を可決した韓国国会(聯合=共同)
30日、検察庁法改正案を可決した韓国国会(聯合=共同)

【ソウル=時吉達也】韓国国会は30日、検察から捜査権を大幅に縮小する検察庁法改正案を可決した。与党「共に民主党」が採決を強行し、反発した野党側は欠席した。検事総長出身で保守系の尹錫悦(ユン・ソンニョル)次期大統領が5月10日に就任するのを前に、検察から強大な捜査権を「剝奪」し、現在の革新系政権に対する報復捜査を回避する狙いがあるとみられる。

関連法案も同3日に可決される見通しで、同日に開かれる文政権最後の閣議を経て公布される公算となっている。

改正案は、検察が捜査権を持つ「6大犯罪」のうち、汚職、経済犯罪を除く4つを警察に移す内容。検察は公務員犯罪や選挙不正の捜査ができなくなり、野党側は「文在寅(ムン・ジェイン)大統領ら現政権への捜査を防ぐための法改正」と反発している。

検事総長や各高検のトップは4月22日、法案に抗議し一斉に辞意を表明。今後は憲法裁判所に審判を請求し、争う姿勢を示す。

主要紙朝鮮日報は30日付の社説で、法改正により文氏が直接、間接に関与した疑いのある不正の捜査が中断されると主張。「最後に公布する法律が、自らの退任後の安全を保障する法律になる」と批判した。

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